【第1位~第3位】編集部が選ぶ2019年業界10大ニュース

投稿日:2019年12月28日 更新日:

「平成」から「令和」へと元号が変わった2019年。歴史的な節目の年にパチンコ(パチスロ)業界では何が起きたのか。この1年の主な出来事を編集部がランキングした。本稿では第1位~第3位を紹介したい。
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第3位 ATMの撤去等など含む~依存症対策基本計画が決定

ここ数年、IR関連法に伴い、依存対策に関する動きが増えているが、19年でいえば4月に閣議決定された『ギャンブル等依存症対策推進基本計画』の存在が大きい。今後、業界の依存対策はこの基本計画に則って進められていくことになる。基本計画は3年ごとに見直される。

基本計画の中で示された業界が取組むべき項目は、①広告・宣伝の在り方、②アクセス制限、③施設内の取組、④相談・治療につなげる取組、⑤依存症対策の体制整備──の5つ。各項目の中に複数の施策が示され、それぞれ目標と具体的な取組みがあげられた。

例えば、2019年度(平成31年度)中に対応が求められた施策としては、「広告・宣伝に関する全国的な指針の策定と公表」、「本人の同意のない家族申告による入店制限の導入」、「18歳未満の可能性がある者への年齢確認」、「依存問題対策要綱(仮称)の制定」、「第三者機関による依存防止対策の立入調査」などがある。

本人の同意のない家族申告プログラムの作成は、現在、関係団体で作業が進められている状況だ。

第三者機関による依存防止対策の立入調査は、遊技産業健全化推進機構が2020年1月から開始する予定だ。

ATM・デビットカードの撤去等の推進は、2019年度以降に取組む施策となった。

すでに業界として取組んでいるものも多いが各施策をしっかりと実行していくことが重要だ。

第2位 主力の旧規則機や“みなし”機が年末で撤去

パチスロ営業の根幹を担った旧規則機の大型タイトルが2019年末、相次いで認定切れに伴う設置期限を迎えた。今後、ホールは本格的な6号機主体の営業を余儀なくされる。

設置期限を迎えた主なパチスロ旧規則機は『SLOT魔法少女まどか☆マギカ』『バジリスク~甲賀忍法帖~絆』『アナザーゴッドハーデス‐奪われたZEUSver.‐』『パチスロモンスターハンター月下雷鳴』など。ホール業界全体では、年末だけで約16万台の入替が強いられた。

想定された事態とは言え、関係者にとって一つ、大きな誤算となったのが6号機の供給不足だろう。

本来、旧規則機の撤去時に代替の役を担う6号機の供給量が不足したため、多くのホールが5.5号機や5.9号機でカバー。これに伴って一部の5.5号機においては中古機市場での価格が高騰する現象も見られた。

このことからも分かる通り、旧規則機から新規則機への入替は、必ずしも順調に進捗していない。

11月28日に開かれたPCSA公開勉強会で、日電協の岩堀和男副理事長は「6号機は現状、約30万台が市場に設置されている。パチスロの総設置台数は約160万台。そのため、残り15ヶ月で130万台ほどの入替が必要だ」と話す。

また全日遊連では、6号機の供給不足を理由に再度、高射幸性パチスロ機に関する設置比率の自主規制を見直し、2020年1月末時点での設置比率を15%以下と修正した(従前は5%)。

さらに今後は、高射幸性パチスロ機の撤去だけではなく、いよいよジャグラー系などノーマルAタイプの入替にも本腰を入れなければならない。

19年末で、ジャグラー系機種が市場に35~40万台ほど残存していると言われている。

6号機版ジャグラーが、どの程度、ファンに受け入れられるか現在のところ全くの未知数だ。どのように対応すれば良いか、「(高射幸性パチスロ機よりも)むしろこっちのほうが難しい」というホール関係者もいる。

20年は、一段階ハードルの上がった形での入替対応が求められることとなるだろう。

また全日遊連では、旧規則機のうち検定・認定の有効期間を満了した遊技機(いわゆる“みなし機”)の取り扱いについて、4月22日の全国理事会で決議した。

それまで未定だった比較的射幸性の低い遊技機(1/100以上の甘デジ、Aタイプ)については、19年12月末までに撤去することを定めた。ルールを決めた以上、抜け駆けホールが出現しないことが望まれる。

約6年間に渡りパチスロ営業の主力を務めた「バジリスク~甲賀忍法帖~絆」。一部の地域を除き年内中を以て撤去となった。

第1位 膨らんだ参議院選挙への期待~業界が初めて候補者を支援

2019年の業界で最も話題を集めたのはやはり7月の参議院選挙だろう。自民党全国比例区から立候補した尾立源幸氏を遊技業界の代表として当選させるべく、業界を挙げて選挙応援を展開していった。結果は残念ながら落選となったが、業界が1人の候補者を応援したのは今回が初めて。業界の歴史に大きな足跡を残した。

業界が尾立氏を応援するに至った経緯は、規則改正が大きく関係している。2017年夏、警察庁から示された規則改正案に対し、その厳しい内容に対し業界団体のトップが、自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」に業界の実状などを訴えたのが起点だ。

規則改正後も、議連は業界の意向を汲み取ってくれる受け皿的な存在となり、業界と議連との距離が縮まる中で、今度は自民党側から参議院選挙への協力を求められることになった。19年3月には業界内で「おだち源幸遊技産業後援会」「全日本遊技産業政治連盟」が発足。後援会の会長には全日遊連の阿部理事長が、政治連盟の会長には同じく全日遊連の伊坂副理事長が就き、業界を挙げた選挙戦が始まった。

5月17日の「おだち源幸氏を励ます集い」には700名を超す業界関係者が参加。会場は立錐の余地のないほどの大勢の業界関係者で溢れ、尾立氏への期待の大きさを窺わせた。こうした政治への期待の大きさは、裏を返せば、度重なる規制の強化などによる警察行政への不信、不満の表れともいえた。

尾立氏は全国のホール企業や組合の会合などを訪れ、挨拶では遊技業界が抱える雇用の大きさや地域での役割などを挙げ、「大いなる族議員として頑張りたい。遊技産業のために必死に働きたい」などと、業界の想いを国会に伝えていく意欲を示していた。

第25回参議院選挙は7月21日に投開票が行われた。尾立氏の得票数は9万2,881票で、自民党比例区の順位では23位となり、当選ラインの19位に届かず落選した。投開票を見届けた遊技産業後援会会長の阿部理事長は「危機感の共有がなかったのでは」と敗因を語った。

参議院選挙は3年に一度行われる。次の参議院選挙で業界として支持する候補を出すのか。これからの政治との付き合い方にも関心が集まるところだ。

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