2月22日に都内で開かれた第43回PCSA勉強会で講演したエンタテインメントビジネス総合研究所副主任研究員の近藤博寿氏は、低貸玉営業が増えても参加人口が増えない現状について、「ふつう価格が下がればお客は増えるはずだが、それが増えないのだから低貸玉営業の普及も消費者には値下げとして認識されていない」と指摘。カジノの価格が払出率を物差しに決まるのを引き合いに出し、「この考えを準用するとパチンコ・パチスロの価格は粗利率で決まることになる。パチンコの粗利額はカジノのスロットマシンに比べて少ないため、粗利率は高くなるのは仕方ない面もあるが、それでも粗利率はかなり高い水準にある」と述べた。
当日近藤氏から示された平均的なパチンコ・パチスロの粗利額・率は3778円・15.6%。これに対しカジノのスロットマシンは5万3333円・5.3%となっている。
また近藤氏はカジノで採用される「レベニューシェア」という考え方について説明した。
この方式はスロットマシンを提供するメーカー側と、設置場所を提供するカジノ側が、スロットマシンからあがる収益をシェアするしくみのこと。分配率は2:8。メーカーは継続的な収益を見込め、カジノ側は機械代を低減できる特徴がある。近藤氏は「ラスベガスの場合、5年以上稼動しているマシンが過半数を占めるカジノは43%に達する」と述べ、スロットマシンに比べて著しく寿命の短いパチンコ・パチスロの現状を指摘した。
一方、近藤氏は、昨年夏のダイナム上場によってパチンコホール市場への参入リスクは減ったとの認識を明示。実際に海外ファンドなど外資がパチンコホール市場に興味を示し始めていると語り、こうした海外からのアプローチによって今後パチンコ業界が急速な変化を迫られる可能性もあるとの考えを示した。