古都の景観を損なわないことを目的に県条例とは別にパーラーの出店エリアを市条例で規制していた奈良市と、市条例は上乗せ規制として真っ向から対立していたパーラー企業との争いをめぐって、奈良市側が市条例を改正する意向を示していることがわかった。9月3日毎日新聞電子版が報じた。
奈良市には保育園や児童館など保護物件から半径100m以内へのパーラーの出店を制限している県条例と、同200m以内へと制限範囲をさらに拡大した市条例のふたつの規制が存在する。問題となった《キコーナJR奈良駅前店》は、県条例はクリアするものの市条例には抵触する位置にあったため、出店計画が浮上した昨年夏以降、奈良市とキコーナ側が対立。今年1月には出店計画の中止命令に応じないなどの理由で奈良市はキコーナ側を刑事告発していた。しかし7月31日に告発されていたキコーナ側に起訴猶予が確定。同店は8月20日に晴れてオープンにこぎ着けていた。
今回示された奈良市側の条例改正の意向はこうした経緯を踏まえたもの。9月2日の定例会見で奈良市の藤原市長は、「市条例として機能しないことが明らかになった」(同紙)と述べ、来年3月の議会までに改正案を提案する考えを示したという。
この市条例は景観保全を目的とする「市ラブホテル及びぱちんこ屋等建築等規制条例」(通称:ラブパチ条例)。奈良市ではこの市条例によってとくにラブホテルとパチンコパーラーの出店エリアを県条例より厳しく制限していた。