【コラム】『エヴァ17』が守ったもの、変えたもの

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実はプレイヤーは、エヴァに爆裂ではなく「安定」を求めていました。その心理を解説します。

『e新世紀エヴァンゲリオン 〜はじまりの記憶〜』 (エヴァ17)が昨年末の導入から高稼働を維持しています。今回はエヴァ17を起点に、エヴァシリーズの本質を改めて考えていきたいと思います。

■エヴァ15 未来への咆哮

現状のエヴァの実績を作ったのは間違いなくこの機種です。当時の市場は
・出玉スピード重視
・一撃性重視
・突破型の増加

という、射幸性を前面に押し出す流れでした。その中で未来への咆哮は
・ロングST
・1500玉固定

という“積み上げ型”のスペック設計でした。明らかな逆張りです。しかし、それが大きく支持されました。なぜでしょうか。

エヴァの演出とロングSTが見事に噛み合ったからです。そして何より、プレイヤーが求めていたのは「大爆発」ではなく、安心して勝負できる台だったのです。未来への咆哮は、射幸性を抑えたのではありません。射幸性を「安定の中に配置した」のです。

■エヴァ16

『シン・エヴァンゲリオン』はレイとカヲル、2スペックが展開されました。
・大当り確率を上げ、RUSH突入率も70%以上に上げたカヲル
・確率も突入率もそのままのレイ

結果、支持されたのは当たりやすい確率(319帯)の方でした。ここから分かったことがあります。エヴァを遊技するプレイヤーは、高い突入率をそこまで求めていないという事実です。

60%前後であっても問題ない。それよりも優先されたのは、当たりやすさの印象でした。重要なのは、入るかどうかよりも、「当たり易さ」だったのです。

■エヴァ17 はじまりの記憶

はじまりの記憶は、 RUSHはLTへと名称が変わりました。しかし、大当たり確率と突入率は15とほぼ同水準です。

その代わり、通常当たりの出玉を削り、右打ち時の出玉を2,400発へ引き上げました。15のスペックの中で「冗長」に見えた部分を整理し、その分を右打ち出玉へ再配分したのです。

ロジックとしては非常に合理的です。15と16の結果を踏まえれば、高稼働を維持していく可能性は高いでしょう。

15がヒットした本質は何だったでしょうか。それは安定感です。このポジションは長年、「海物語」が担ってきました。『エヴァ15』はそこに食い込んだようにも思えます。「勝負できる王道」という居場所を築いたのです。

2,400発は確かに強力です。しかし、「射幸性を上げる」ほど、安定の印象は薄れます。今のエヴァが守るべきものは、最大出玉ではなく、達成感の安定供給です。

安定を維持しながら爽快感を上乗せする。2,400発は、その均衡点に近い設計と言えるかもしれません。しかし、これ以上射幸性を強めれば、15で築いた「安心」は揺らぎ始めます。エヴァが手に入れたのは、爆裂機の頂点ではなく、「安心して勝負できる王道」という独自の立ち位置です。

■結論

15は逆張りで安定を築きました。16でプレイヤーの許容ラインを確認しました。17で出玉を再配置しました。流れとしては必然です。しかし、安定を失った瞬間、エヴァはエヴァでなくなります。

爆裂と安定のバランス。ここが今後のエヴァの最大テーマになるでしょう。

◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役

2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。

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