
完成度の高いパチスロ機が必ずしも成功しない理由を、『ヴァルヴレイヴ2』の事例から読み解きます。
『ヴァルヴレイヴ2』はなぜ「出来は良い機種」だったのか
スマスロを語るうえで、初代『ヴァルヴレイヴ』の存在は欠かせません。荒い、一撃特化といった印象とは裏腹に、その中身を分解すると、非常に教科書的に優れた機種であったことが分かります。そして、その成功体験を土台に登場したのが革命機ヴァルヴレイヴ2です。
今回はまず初代『ヴヴヴ』の良かった点を整理し、なぜ2が「出来は良い機種」だったのかを、機種選定の視点から考えていきます。
良かった点①分かりやすさ
『ヴヴヴ』最大の強みは、ゲーム性の分かりやすさにありました。
・BIGで666枚獲得すればAT
・ATを3連させれば上位AT
この2点だけで、「何を目指せばいいか」は十分に伝わります。人は遊技前に、確率や内部状態を細かく理解しようとはしません。この単純な目標設定が、「自分にも出来そうだ」という感覚を生み、着席の理由になっていました。
良かった点②爽快感・達成感
666枚突破という明確な壁。AT継続時のブラックアウトと音。数字と演出が一致することで、「成功した」という感覚が強く刻まれます。人は勝った結果よりも、達成したと実感できた瞬間を記憶します。『ヴヴヴ』は、その瞬間を非常に上手く作っていました。
良かった点③意外性
AT終了後には、66Gの引き戻し区間があります。終わったと思わせて、完全には終わらせない。この余白が、「まさか、ここから?」という体験を生み、『ヴヴヴ』を語られる台にしました。
2は、何を変えなかったのか
『ヴヴヴ2』で重要なのは、何を変えなかったかです。
・分かりやすさ
・爽快感と達成感
・66Gの引き戻しの意外性
初代で評価された感情設計の核は、ほぼそのまま踏襲されています。すでに受け入れられていた「気持ちよさ」を壊していない。だからこそ『ヴヴヴ』2は、機種としての完成度は高かった機種と言えるのです。
しかし、爆発的な稼働は維持できなかった
それでも『ヴヴヴ2』は、導入から爆発的な稼働を長期間維持することは出来ませんでした。この最大の要因は、導入台数の多さにあります。台数が多いということは、「プレイヤーが分散する」という現象を必ず引き起こします。
初代『ヴヴヴ』は、導入から徐々に台数を増やしていきました。一方、『ヴヴヴ2』は、新台時から大量導入され、爆発的な稼働が維持しにくい構造になってしまったのです。これは機械の出来とは、まったく別の問題です。
機種選定で最も重要なのは何か
『ヴヴヴ2』の事例から見えてくるのは、機種選定において最も重要なのは、「機種の出来」そして、その「出来に見合った台数の判断」この2点だということです。機種選定とは、良い台を選ぶ作業ではありません。
・良い台 × 適正な台数
この掛け算を最大化する行為です。出来が良くても、台数を誤れば評価は薄れ、出来が普通でも、台数が適正なら存在感は生まれます。
『ヴヴヴ』2は、面白くないから失速したのではありません。多すぎたから、目立たなくなった。この事実は、機種選定における最大の教訓と言えるでしょう。機種選定とは、当たる台を探すことではない。当たった時に、最大化できる戦略を考えることです。
機種の出来を見る目と、台数を見極める判断力。この2つが揃って初めて、本当の意味での「成功する機種選定」が成立するのです。
◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役
2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。
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