【コラム】2026年パチスロ市場、新台選定成功の確率を上げるためには…?

投稿日:2025年12月29日 更新日:

今回のコラムでは、新台を購入してもなかなか実績に繋がりにくいとお悩みの多くのホール関係者の皆様へ、その課題を少しでも解消できるようなアプローチについてお話しします。これまでの実績を踏まえて、今後も堅実な実績を出しやすいと考えられるスペック・タイプを深掘りし、新台選定の成功率向上を目指します。今後の新台選定や中古機選定に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご一読ください。

高単価機市場の「供給過多」とリスク

まず昨年の実績を振り返ってみましょう。3.6円を超える高単価機の設置台数に対して、メインで遊技されるヘビーユーザー層の分母がかなり少ないということに気づかれているでしょうか。あくまで独自の集計ではありますが、3.6円以上のコイン単価を持つ機種の設置台数はかなり多く、高単価機をメインで遊技するヘビーユーザー数の約3倍もの台数に達すると推計されます。

売上や粗利の多くを担う高単価スマスロは、今や供給過多の状態でヘビーユーザーの奪い合いが起きているわけです。当然、高単価で話題性の高い注目機は、メーカーも大量に販売しますし、ホール側も大量導入を行い、瞬間的な集客に重きを置いた戦略にならざるを得ない状況が続いています。

しかも新台が大量に導入されれば、高単価機同士で店内移動が起きるだけで、競合店からの集客には繋がりにくいうえ、既存台への悪影響まで生まれてしまいます。莫大な予算を使って新台を導入したにも関わらず、更に予算を使ってイベントを繰り返し、玉も出して……。今や供給過多の高単価機を増やしても、ユーザー数不足、機械予算の拡大、新台の短命化など、メリット以上にデメリットが大きくなる傾向が強まっています。

結果的に、資金力のある大手チェーンでしか打たれない環境が整っているといえます。大手ホールはその分、莫大な予算をかけて大きなリスクを背負って勝負していますが、特に中小ホールでは、話題性が先行した高単価機の大量導入は、下手をすると業績悪化の火種になってしまうことも多々ありますし、最悪の場合は閉店に向かってしまうケースにもなりかねません。

そんなリスクを回避するためにも、新台評価や導入台数の精査は慎重にならなければいけません。そこで今回は、過去の実績から導き出される「新台選定成功」に近づくポイントについて考えていきます。

実績ある「中単価帯」と勝率の関係

今回注目したのはまず単価帯ですが、皆さんもご存じの通り、3円前後のいわゆる中単価帯と呼ばれるスペックを持つ機種には長期ヒット事例が多く存在します。本コラムでは2.7円~3.5円台の機種を中単価帯と定義します。スマスロで見ると『L北斗の拳』『L戦国乙女4』『LモンキーターンV』『Lマギアレコード』『Lモンハンライズ』『L防振り』『Lスーパーブラックジャック』など、スマスロ時代に突入して大ヒットした機種や、堅実に20週を超える実績を出した機種も多く登場しています。

では、中単価帯の機種と高単価帯の機種の実績にどのような違いがあるのか。今回は「勝率」に注目してみます。

メーカーによっては設定別の勝率を発表するところもありますが、多くは事前情報として出してはくれません。あくまで実績からの比較になりますが、設定1の勝率は高い機種ですと35%以上の数値を記録しています。これは単価帯に関係なく、優秀な機種に共通する高い数値として認識しておいてください。

面白いのは、設定1の勝率が高い機種の方が高稼働しやすいという傾向がある点です。逆に設定6(最高設定)で比較すると、中単価帯と高単価帯で大きな差が出てきます。中単価帯の機種は約65%から高いもので75%以上の勝率となる一方、高単価帯の機種は約50%から高いものでも65%程度のものが多いのです。

高設定であっても負ける可能性が高い高単価帯の機種を打つユーザーというのは、大きなリターンを求めているのであって、ゲーム性は二の次という思考が強くあります。ただでさえ勝率が低い傾向がある高単価帯機種の稼働は、設定不問の出玉性能に強く依存しているのです。

逆に言えば、高単価であればあるほど高い出玉性能、大逆転への期待値が無いと座ることすらないということです。ただ、中単価帯の機種であっても勝率に関わらず短命に終わった機種も多く、その他の要素も大事なポイントになります。それらも含め、今後も対応できる客層の幅が一番広い中単価帯の機種が、堅実な実績を出しやすい市場になっていると言えるでしょう。

さらに言うならば、ただ単価が低く遊びやすいだけではダメで、少なくとも万枚程度の出玉は狙える期待感を持たせなければスマスロらしさもありません。「遊びやすく、かつ刺激的な出玉性能も持ち合わせる中単価機」という、良いとこどりスペックを探し出していただきたいです。

「状態移行タイプ」と「適正台数」の重要性

そしてもう一つ、長期稼働・長期粗利貢献を考えた時に加えておきたいポイントがあります。ゲーム性の面から見た時に「状態移行タイプ」と呼ばれる、自力で連続性のある出玉に直結できるタイプの実績が堅実であるという事実です。メダル機ですが『S炎炎ノ消防隊』や、長期稼働した『L防振り』などがそれに当たります。実はこの手のタイプはそれほど多くの機種で採用されているわけではなく、気づきにくく、静かに実績を出してくるので目立ちにくいのですが、確実に一定のニーズがあるジャンルと言えます。

なぜこのゲーム性に着目したかと言うと、私も新台選定時に大事にしている「朝一の期待感」「通常中から出玉区間中」「出玉区間終了後」に至るまで、常にチャンス感を持続できるゲーム性になっているかどうかが、稼働に大きな影響をもたらすからです。

G数やポイント数に左右されないゲーム性というのは、前任者の遊技終了状態に関わらず座りやすい、稼働しやすい、夕方以降でも勝負しやすいタイプと言えます。短いG数でも自力で大当たり、出玉の連チャンに期待できるゲーム性の機種は、長期的な稼働に最も適しているとも言えるでしょう。

高単価で出玉性能の高い機種というのは、一部ファンの強烈なニーズはあるものの、現市場では広く集客できる要素ではなくなってきています。大きな出玉を獲得できる条件が揃うまでのハードルの高さ、投資の大きさ、必要なヒキの強さなど、相当な覚悟をもって挑まなければならない高出力機は、やはり客層を制限してしまうのです。

さらにもう一つ言うならば、皆さんも感じているであろう販売台数です。今の時代、超がつくほどの話題機なら30,000台、40,000台であっても良いのですが、今回お話した中単価帯の機種で長期稼働を目指すなら、5,000台~最大10,000台程度の規模で販売される方が堅実です。

最近のケースで見ると、販売予定台数を大きく下回る販売実績の新台も少なくありません。結果的に高稼働してしまうという想定外のことが起きるケースもありますが……。逆に販売台数予定を大幅に超過して導入されるケースも目立ちますが、この場合は悪い意味で稼働に影響が出てしまうことも多いのです。いずれにしても、そこまで深読みして購入するというのも成功確率を上げるためには必要な要素ですが、不確定要素が多い為、今回は割愛します。

販売台数が多くない新台の場合、その多くがバラエティ~少台数で導入されます。そうなると初日から使われる設定は1か2で運用されますよね。使っても最大4が良いところでしょう。昔から変わりませんが、設定に期待できない分、別のところに遊技する理由がある新台を選んでください。

今回お伝えしたスペックやゲーム性、販売台数に加え、コンテンツもそうですし中毒性の高い演出も含まれます。他にも含めるべき要素はありますが、それはまたの機会にお話しできればと思います。

まとめ

最後にまとめますと、中長期的な稼働維持を目指す機種選定には以下の要素が重要です。

▶支持層の多い中単価帯(3.0円前後・勝率も考慮)
▶期待感が持続するゲーム性と瞬発力もあるスペック
▶稼働に好影響を与える適度な販売台数(超話題機は除く)

これらのポイントをしっかりおさえていただくことが大事です。

長期的な稼働を目指す、安定した粗利を目指す、そして新台選定の失敗を減らしていくためには、複数の要素を織り込んだ新台を見極めていかなければなりません。難しい「仕事」ではありますが、ユーザー目線を持ちつつ、自店の利益最大化を目指した新台選定を続けていきたいですね。

弊社では新台選定、中古機選定、設定運用、人材教育など、パチスロ運営の全てのお悩みについてお手伝いできます。いつでもお気軽にお問い合わせください。

●プロフィール
飯田信一
株式会社ピーナレッジマネジメント

これまで25年間、パチスロ営業支援を生業として、ホールの営業計画、設定調整、機械選定など、パチスロ運営のすべての面における支援を実施。現在も複数のホール法人、遊技機メーカーの支援を行う。

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