稼働と粗利の「減衰率」に着目することで、主力機種の勢いと限界点が浮き彫りになります。本記事では9、10月のデータを基に各タイトルの動向を整理し、年末に向けて必要な営業対応を探りました。
表は、9月(前々月比)と10月(前月比)のデータをもとに、主力機種の稼働・粗利の増減を減衰率で整理し、今後の傾向予測を含めたものです。

ジャグラー系を見ると、『マイジャグⅤ』や『ファンキー2』は稼働減衰が続いているものの、粗利はむしろ強化傾向にあります。『ネオアイム』は新台効果が薄れ、減衰率が大きくなっていますが、依然として他ジャグラーより稼働水準が高く、大きな懸念材料とは言えません。例年12月はジャグラー系も「抜き月間」となる傾向が強く、粗利重視の営業となる可能性が高いでしょう。
AT系では、『マギアレコード』や『モンキーターンV』が稼働・粗利ともに減少しており、粗利の上限自体が縮小しています。
『東京リベンジャーズ』は想定より早く新台効果が失われ、稼働が急落しています。この傾向は次月以降も続く可能性が高く、慎重な対応が求められます。
総じて、「稼働減・粗利増」の機種では粗利上昇の要因を特定し、稼働回復を狙う施策が必要です。一方、「稼働減・粗利減」の機種は、販促強化や島再編による見せ場づくりが不可欠です。設定投入のタイミングと販促スケジュールを緻密に組み合わせ、短期的には年末年始に向けた季節戦略・プロモーションを展開し、中期的には機種構成の見直しを進めることが望まれます。
この見直しは、あくまで稼働見込みのある機種を中心に選定し、粗利維持と稼働回復の両立を図る事が基本方針となります。減衰率への注目が、回復施策か再編施策を取るかの判断材料の一助となれば幸いです。
◆プロフィール
中野大輔
㈱メイドインサービス 事業戦略部 部長
大手メーカーで約20年間勤務。開発職・マーケティングの経験を活かし、現職では全国ホール企業の経営/営業支援および複数遊技機メーカーの開発支援に携わる。特にパチスロメーカーの開発支援で実績を上げており、開発戦略参画から製品企画・評価検証まで多岐に活躍。



