夏の集客期を終えた8月は、機種運用のバランスを見直すうえでも重要な局面です。売上・稼働・粗利など、各機種の数値の裏にある変化を捉えることで、次の施策の精度が高まります(文=中野大輔/㈱メイドインサービス事業戦略部 部長)。
今回は6月の実績シェアランキングから分析例を紹介します。まず、安定機種と位置づけられるのがジャグラー系です。中でも『マイジャグラーV』は、平均粗利3,444円と安定性が際立っており、店舗の収益を支える重要な機種といえます。
次に、AT機では『東京喰種』や『かぐや様は告らせたい』に注目です。GW明け以降、稼働効率と粗利額の安定が見られました。単なる“新台効果”にとどまらず、中長期的な運用が可能な定着型機種としての移行が示唆されます。
また『モンキーターンV』や『からくりサーカス』は、粗利率と出玉率のバランスに優れており、6月以降の稼働推移も緩やかに上昇しています。特に『からくりサーカス』は粗利率7.1%、出玉率99.73%と、ユーザー満足度と利益の両立が可能な“仕上がり感”のある機種で、今後も安定機種として期待できます。
一方、『北斗の拳』は粗利額が前月比で大きく減少し、出玉率100.8%という“出過ぎ傾向”が収益を圧迫する要因となっている可能性があります。
さらに、稼働シェア1%未満の下位機種群は、先月との比較で「貢献度の停滞」や「粗利額の圧縮」が見られた場合、入替検討の強力な根拠となります。特にIN枚数と粗利率の双方が低下している場合、設置を継続する必然性が薄まり、次期営業戦略の中で“淘汰”と“強化”の判断が必要となります。
自店の実績を把握し、営業の安定化に向けた改善策を迅速に推進できるかが、今後の成長に向けた鍵となるでしょう。
◆プロフィール
中野大輔
㈱メイドインサービス 事業戦略部 部長
大手メーカーで約20年間勤務。開発職・マーケティングの経験を活かし、現職では全国ホール企業の経営/営業支援および複数遊技機メーカーの開発支援に携わる。特にパチスロメーカーの開発支援で実績を上げており、開発戦略参画から製品企画・評価検証まで多岐に活躍。