このぶどう園は平成8年度に前年の空知炭鉱の閉山に伴い、空知炭礦株式会社から歌志内市に譲渡されたもので直営農場としてぶどうの試験栽培事業を進めていが、今回は土壌改良の促進、苗木適応性の確認等の一定の成果がみられたために、地域産業創出の資源として譲渡先を模索。その過程の中で太陽グループ東原社長に声を掛け今回の合意に至ったという。同グループは別会社として譲渡の受け皿となる農業生産法人「株式会社歌志内太陽ファーム」の設立も行っている。
契約に先駆けて今年2月に歌志内市から要請があり、市が所有するぶどう園を太陽グループに譲渡する件についての基本合意が両者の間で行われていた。現在までに、市のぶどう園で生産されたぶどうは北海ワインに出荷され、その後ワインとして市内で流通しているという。歌志内市はかつて北海道有数の炭鉱地域だったが、石炭から石油など他のエネルギーに産業構造が転換されることにより、市内の空知炭鉱も平成7年に閉山を余儀なくされた。その後、市は観光産業の育成に力を入れるものの、閉山以降現在までには主たる産業がない状況が続いていた。
歌志内の河原市長は今回の譲渡について、「地域にとって石炭産業に代わる産業創出の成功事例としては言うに及ばず地域福祉、雇用創出等についても光明が射されてきたものと捉え深く感謝するとともに今後は可能な限り農場の発展と構想実現に向けた支援を行っていきたい」と述べている。
また東原社長は、「ノウハウは今のところない。今後しばらく赤字が続くかもしれない。順調に経営するには農家・農業は厳しい状況にあるが道内に歌志内市ありきとして大きく挑戦していく。収益は町の皆さんと一緒に分け合いたい」と語った。