今回の風営法の改正は当初、風俗営業に係る人身取引の防止強化や、ピンクビラ配布の罰則化など、性風俗への規制強化の色彩が強いものと伝えられていたが、その一方で、「許可の基準」(風営法第4条)も同時に改正され、遊技機の無承認変更の罪に問われたケースには、許可自体が取り消される可能性が浮上している。
その根拠となっているのは、許可の欠格事由を規定した第4条に、遊技機の無承認変更違反が追加されたことだ。第4条は刑法その他の前科を持つ者に対し、刑の執行終了から5年間について風俗営業者として許可を認めない規定を法文化しているが、今回の改正ではこの第4条に遊技機の無承認変更を追加。第4条は許可の取消要件を規定した第8条と連動する形に体系化されていた。
つまり第4条の追加規定が同時に許可取消要件の拡大を意味していたことになるが、遊技機の無承認変更については今回、罰則面でも従来の「6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」から「1年以下若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」という内容に強化されている。
許可取消しをめぐっては、01年9月20日の行政処分の量定基準の引き上げにより、不正機使用には一発許可取消しが厳格に規定されたが、著しく射倖性をそそる不正機使用にはつながらない無承認変更、たとえば今年5月に検挙された全日遊連の山田前理事長のケースのように、ゴト対策部品の無承認変更については営業停止処分相当と解釈されていた。
しかし今回の改正により、罪の軽重にかかわらず、無承認変更には一律に許可取消しが適用される可能性が出てきたことで、今後の行政側の出方が注視される。ただ、第8条の許可取消し要件に抵触した場合も、法文上はあくまで「公安委員会はその許可を取り消すことができる」との表現になっていることから、最終的な判断は従来どおり各公安委員会に委ねられるものと思われる。
なお、今回の改正風営法は11月7日に公布され、公布から6ヵ月以内に施行される予定になっている。