「体感器」を使ってパチスロ機のボーナスを連発させ、メダルを不正に取得する行為が窃盗罪にあたるかが争点となっていた刑事裁判で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は4月13日付けで、「パチスロ機に直接不正工作をしていなくても、体感器を使ってメダルを取得すれば窃盗罪が成立する」とする初の判断を示した。 一般紙が一斉に報じた。
体感器を使った事犯は各地で起きているものの、遊技機に不正な工作をするわけではないため、従来は刑事責任を問うことが難しいとの見方もあったが、今後はこうした行為が犯罪になることが明確となった。
第2小法廷はそのうえで窃盗などの罪に問われた無職の鈴木憲幸被告(28)の上告を棄却。懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した2審・札幌高裁判決が確定する。
1、2審判決などによると、鈴木被告は2005年9月23日、札幌市南区のパーラーに設置されていた『ヨシムネS』から体感器を使ってボーナスを連続で当選させ、メダル約1500枚(約3万円相当)を盗んだ。
鈴木被告の弁護側は「体感器はパチスロ機に直接誤作動を起こさせるものではなく、体感器の使用とメダルの取得との間に因果関係はない」として無罪を主張していたが、第2小法廷は今回の決定理由で「通常の遊技方法の範囲を逸脱しており、パチスロ機を設置している店舗がそのような遊技を許容していないことは明らか」とし、体感器をつけて遊技中に得たメダルについては、すべて窃盗罪が成立すると結論づけた。