この事件は、2004年6月、大分市内のパーラーに女児を連れた両親が来店、同じく男児(当時2歳)を連れた別の両親も来店しており、同店従業員が女児を「キッズルーム」と呼ばれる休憩室で面倒をみると伝えていたが、パチンコ玉を運ぶ台車に女児が乗り、男児が押して店外に出て、赤信号の横断歩道を横断中に乗用車にはねられて女児が死亡した。2組の両親はいずれも遊技中だった。
1審判決では、乗用車のドライバーと男児の両親に対しては連帯して約900万円を支払うよう命じたが、「幼児が公道に出ることを阻止することは、店側の安全配慮義務違反に含まれない」として店側への賠償請求を退けていた。
しかし控訴審判決では、「夫婦でゲームに興じ、女児を6時間も放置した原告の責任が最も重い」としたうえで、店側にも「従業員らは幼児が台車を店外に持ち出すのを見過ごしていた。幼児同伴の客の入店を容認していた以上、幼児の監視を店が補助する義務があった」と判断。さらに「他店では預かり施設を設置しているケースもある」として店側の管理体制の不備を指摘した。ドライバーはすでに相当の賠償をしているとして控訴審での賠償請求は棄却された。
原告の代理人は、「店外の事故であっても、パチンコ店が来客の子どもの安全に配慮する責任があることが認められた。子ども連れの客を受け入れるパチンコ店に、警鐘を鳴らす判決だ」とコメントしているという。