【レポート】『沖ドキ!』撤去に影響!? 全日遊連内部での混乱の行方

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旧規則機の取扱いに関する21世紀会決議について、昨年12月の全日臨時理事会で遵守を決議しようとしたところ、この期に及んで5県遊協が反対し、波紋を広げている。約47,000台といわれるパチスロ機『沖ドキ!』の撤去期限は1月。自主規制と法的に争う姿勢のホール動向も交えてレポートする(文=中台正明 フリーライター)。

21世紀会決議遵守に
5県遊協が反対

全日本遊技事業協同組合連合会が臨時理事会を開いたのは2020年12月16日だった。栃木県遊技業協同組合の開催請求を受けたもので、提案事項は「新型コロナ感染症拡大(第3波)に対する総合的対処について」。51人の理事のうち、45人が出席した。

栃木県遊協の金淳次理事長は旧規則機の取扱いに関するパチンコ・パチスロ産業21世紀会決議について持論を展開。複数の出席者によると、「高射幸性遊技機は21世紀会決議どおり、当初の検定切れ、認定切れの日までに撤去する。だが、その他の旧規則機は2020年5月20日施行の規則改正で1年延長するとした経過措置期間内での運用が認められるよう、再検討してほしい」との要望が出された。しかし、受け入れられなかったという。

当日は逆に、21世紀会決議を遵守することを決議すべきだとする動議が他の理事から出され、賛成36理事、反対5理事、棄権4理事で決議した。なお、全日遊連が旧規則機の取扱いに関する21世紀会決議の遵守を決議したのは今回が初。翌17日、同組合は21世紀会を構成する他の12団体に報告した。

決議に反対したのは栃木のほか群馬、茨城、三重、愛媛の5県遊協で、このうち、栃木県遊協は12月17日に緊急理事会を開催し、旧規則機の設置・運用に関しては経過措置期間を1年延長するとした改正規則を遵守すると決議する意向を同席上で表明した。

金理事長はまた「弁護士と相談しながら進めている」と述べ、その結果として21世紀会決議違反となった組合員店舗が全日遊連や21世紀会からペナルティを受けたときは栃木県遊協として組合員を守るとも明言したという。

他にも、21世紀会決議については、「努力目標」とすべきだとした理事長がいた。

高射幸性機を除き
法令通り1年延長を主張

上述した全日遊連の臨時理事会は2時間余りに及んだが、必ずしも建設的な議論にはならなかったようだ。複数の出席者は「栃木県遊協の主張がよくわからないまま、時間が過ぎていった」と証言する。

そこで同県遊協の臨時理事会開催の請求理由をみると、以下の4点(要約)。

①業界は2020年4月、5月、新型コロナ対策の一環として休業を余儀なくされた。その影響で休業、廃業に追い込まれたホールは多く、今後の見通しが立たない現状である。
②5月には旧規則機の猶予期間が延長されたが、コロナ第3波で窮状はさらに拡大。中小は苦しんでいる。
③組合員店舗の実態を調査したところ、苦渋の決断で計画的な入替を行っている。高射幸性機以外の旧規則機の撤去期限の再延長を望む意見が多く、11月27日開催の栃木県遊協理事会では「21世紀会決議」の再検討を(要望することを)決議した。
④新型コロナ第3波の影響で医療崩壊等の恐れがあることから可及的速やかに理事会を招集し、対応を検討する必要がある。

この中で唯一、主張らしい③に関してもまた、「再延長」の意味が読み取りづらく、多くの理事は真意をつかみかねる状況で理事会に臨んだという。

臨時理事会でも、金理事長は21世紀会決議に至った過程が不透明であることや、全日遊連は全国の大多数のホールを傘下に置く法的に認められた団体であるのに、21世紀会という任意団体の決議を最優先していることへの疑問など、さまざまな“そもそも論”に話が飛ぶので、「いら立ちが募った」と某県遊協の理事長は振り返る。

特に強調したとされるのが、「警察庁は、コロナ禍のなかで当初の経過措置期間内に新規則機に入れ替えるのは無理があるとして、延長する意向だったのに、21世紀会が不要な約束をしてしまったのではないか」とする見方だ。

これは昨年9月の理事会でも同理事長が主張した意見だ。その後、全日遊連では各都府県方面遊協に文書を発出し、一連の経緯を説明したのだが、絶対的なエビデンスに欠けるとして同じ疑問を繰り返したという。

さらに今回は、全日遊連として21世紀会決議の遵守を機関決定していないことにも言及したことから、同組合では遵守を決議することになったのだが、「全日遊連が割れる要因をつくるだけ」と決議に反対した理事もいた。ある県遊協の理事長は「『こちらのスタンスは公式に伝えた』として、かえって反対派に独自路線を取りやすくさせたかもしれない」との見方を示す。

栃木県遊協は独自の決議
21世紀会決議は「尊重」

一方、栃木県遊協は宣言どおり、翌17日に緊急理事会を開き、「今後とも『21世紀会決議』は基本的に尊重する」「撤去期限を迎える遊技機の取扱いについては、各種事情により、やむを得ず継続使用する場合は個社対応とする」「個社で各種対応について相談がある場合は、栃遊協において適切にアドバイスする」の3点を決議した。

「高射幸性機は21世紀会決議を遵守するが、他の遊技機は改正規則の経過措置期間を遵守すればいいのではないかとの金理事長の提案を受け、いろいろな意見が出て、このような内容になった」と関係者は話す。

栃木県遊協は、全日遊連に対する臨時理事会開催請求理由でも触れているように、11月27日の県遊協理事会でも今回の問題を議論している。その結果、組合員の現状把握のアンケートを実施することと、その集計内容に基づいて全日遊連に臨時理事会の開催請求をすることを決議した。

同県遊協の関係者は組合内のコンセンサスはとれているとし、「組合員は新型コロナで悲惨な状況になっている。国も新型コロナ対策に力を入れているいまが21世紀会決議を見直す絶好のチャンスなのに、全日遊連では理解を得られなかった」と悔しがる。

全日遊連は栃木県遊協に
注意喚起文書を発出

栃木県遊協の決議に対して、全日遊連は即座に注意喚起文書を発出。21世紀決議を基本的に尊重するとした点は、「『遵守』という意味が希釈化され、(全日の)本決議に反しかねない内容になっていると考える」とした。

撤去期限を迎える遊技機の取扱いについて、各種事情により、やむを得ず継続使用する場合は個社対応とするとした点は、「『やむを得ず継続使用する場合』という曖昧な基準のもとで個社対応を容認するかのような決議の内容は(全日の)本決議を軽んじるものとなるのではないかと危惧している」と指摘。個社で各種対応について相談がある場合は、栃木県遊協において適切にアドバイスするとしている点については、「撤去しないことを容認するような誤解を招く指導はしないよう、念のために注意を喚起する」とした。

全日遊連の決議に反対した5県遊協のうち、臨時理事会で特に目立った発言はなかったとされる三重県遊協の関係者は「21世紀会決議の一部に若干の疑問があったから反対に回ったが、多数決で『遵守』と決まった以上、それに従う」とコメントし、愛媛県遊協の関係者も理事長から独自の指示は受けていないとしている。

栃木県内のホールはどう動くのか。また、21世紀会決議を「努力目標」にしたと伝えられる隣県の茨城も、誓約書未提出のうえに『ミリオンゴッド–神々の凱旋–』などの高射幸性機を撤去期限後も使い続けているとして、東京都遊技業協同組合から昨年11月26日に資格停止処分を受けた町田市にあるホールのグループ店が多数出店しており、今後の動向が注目される。

昨年5月、撤去期限延長という異例の判断を下した警察庁。業界と行政の信頼関係を保つ上でも、21世紀会決議の遵守が必要だとする意見が業界の大勢を占めている。

当該店舗は法的措置!?
展開次第で大きな影響

町田市の当該ホールの経営企業は、21世紀会決議の100%遵守を目指す21世紀会や関係団体側のさまざまな包囲網(中古機流通の確認証紙の発給を留保するなど)に対して相当な覚悟をもって臨んでいる。

昨年9月には出店エリアの都府県方面遊協に対して、法令上は経過措置期間が1年延長されたのだから、業界の計画的撤去に従うか否かは各店舗の任意の判断でいいのではないかなどの質問書を提出。東京都遊協の資格停止処分に関しても当初は11月9日の臨時理事会で決議する予定だったのだが、同社代表が弁護士を伴って出席し、手続きの不備などを指摘して決議が先送りとなった経緯がある。

中古機流通の書類発給ストップの動きに対しても、一時差し止めの仮処分申請を東京地裁に起こしている模様だとの話が漏れ伝わってきている。

展開によっては、今回はもとより今後の自主規制にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

旧規則機撤去における当面の焦点は、21世紀会決議で2021年1月11日まで(当該都道府県公安委員会の年明け最初の入替指定日が1月12日以降となる地域のホールは1月19日まで)に撤去することとしている『沖ドキ!』及び『沖ドキ!–30』だろう。総台数は約47,000台と突出しており、いまだ主力機としている(※2020年12月現在)ホールは少なくない。

ホール4団体の誓約書確認機関が1月4日に発表したところによると、高射幸性機の21世紀会決議に基づく撤去未履行を確認し、全国遊技機組合連合会(全機連)に詳細を通知した店舗数は24店舗(25件)。年末には高射幸性機の大量再設置をアピールするホールが現れ、SNSで話題となった。

今後、全国のホールが業界秩序を崩すことなく21世紀会決議を遵守できるのか、予断を許さない状況が続く。

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