新しいエンタテインメント空間創出をテーマにセミナー

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 「日本のエンタテインメント空間の未来~新しい業態開発が市場を変える」をテーマに、フィールズ株式会社の調査研究部門であるフィールズ総研主催のセミナーが10月30日、都内で開催された。

 当日講師に招かれた松本大地氏は、山一證券、鈴屋を経て、丹青社のマーケティング研究所所長を歴任。その後2007年に(株)商い創造研究所を設立し、Gathering(ギャザリング=人が集う場づくり)の先進都市として米国オレゴン州ポートランド市を広く紹介するなど街づくりの専門家としてさまざまなプロジェクトに携わっている。

 冒頭、松本氏は高度成熟社会における消費構造が「モノ消費」から「ライフスタイル消費」へとシフトしている新たな潮流に触れ、人が集まる場所づくりに求められる“新しさ”へのアプローチについて「時代的な翻訳、言語変換」が重要になるとの認識を示した。

 人が集まる界隈性はその地域に根づく文化が深くかかわっている、ただ時代とともに人々のライフスタイルは変化し、界隈性もその変化に対応しなければ機能しない、脈々と息づくかわらない文化性はそのままに、変化する時代の空気を吸いとった言語に変換することにより新しさへの道筋は見えてくると語った。

 続いてフィールズ総研の大塩忠正フィールズ執行役員の司会に、松本氏に加え、安田不動産開発第三部部長の澤田月來男氏を交えたパネルディスカッションが開かれた。

 この中で澤田氏は、創業昭和6年(1931年)の銀座の老舗キャバレー『白いばら』が来年1月10日に閉店することを引き合いに出しつつ、「パチンコホールへ通い、キャバレーでドンチャン騒ぎすることが大人の遊びと公認されていた時代の価値観やライフスタイルが変化したのが原因。しかし本質的に楽しいこと、エンタテイメントであることは変わらない、求められるのは新しい切り口ではないか」と指摘した。

 一方、松本氏は、「時代が求めるエンタテインメント空間は、明らかに箱からストリートに飛び出している。六本木ヒルズがある。しかしあの箱は街に対して城壁をつくっていて、なんら溶けこんでおらず、染み出している感じがしない。これでは人を引き寄せる魅力ある界隈性、エンタテインメント性は生まれないのではないか? パチンコホールの場合、困難なハードルが待ち構えているが店内で自己完結させないで、いかにストリートの空気感や界隈性を取り込み通わせるかが重要だと思っている」と語った。

 また松本氏は、競争戦略理論の大家として著名なハーバード大学のマイケル・ポーター博士の「社会課題の解決で企業が尊敬される時代が来る」という予言を紹介しつつ、のめり込みなどネガティブな話題だけではなく、ライフスタイル消費時代にいかに良質なエンタテインメントを提供できるか、人が集う街づくりにどう貢献できるかなどパチンコホール企業が自ら解決の先頭に立てる社会課題は少なくないと推論し、「尊敬される業界、尊敬される企業」への道筋をも提案した(セミナーの詳細については本誌にて紹介の予定)。

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